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ヨーハン・ウオルフガング・フォン・ゲーテ

フランクフルト生まれ。26歳にて、ドイツ中西部の小国、ワイマール公国の枢密顧問員となる。
恵まれた才能は、恵まれた環境で育まれるも、30代後半に、政務をすて芸術・文化の研究および、自らの試作・編纂に集中。
「ファウスト」「若きウェルテルの悩み」「ヴィルヘルム・マイスター」などの著作で歴史に名を残す。
同時代人、ベートーヴェン・ナポレオンとの邂逅もさることながら、自らの多くの詩がシューベルトなどにより歌曲になり、
ドイツ市民はもとより、全世界の人々に親しまれる存在となる。歌曲「野バラ」「魔王」など。
色彩論、鉱物学の研究など、科学的な分野にも注力し、晩年に編纂された、付き人、エッカーマンに口述筆記させた、
「ゲーテとの対話」は、フリードリヒ・ニーチェをしてマルティン・ルターのドイツ語訳「聖書」、「意志と表象としての世界」にならぶ、ドイツ古典の最良の書の3つに数え上げられる。

後世、ゲーテを賛辞した文化人は、星の数ほど、ヨーロッパの文化の巨人。





「ゲーテとの対話 上・中・下」 フリードリッヒ・エッカーマン著


忠実な口述筆記を行った、エッカーマンは、晩年のゲーテの名ファシリティーターかもしれない。
3冊、これが読みやすい。
いくつもの、フレーズが時折頭をよぎる

「芸術作品を作るとは、銀の食器の上に、金の林檎を添えるようなもの・・・・」
一生かかって、やっと(技術的に)銀の食器を造れたが、現実の生活が、実践に基ずいていないため、
じゃがいもしか載せられないと。。。金の林檎は、社会のひいたレールを脱線、大いに道草をくってこそ、
その脇道に、毅然とはえている木、その果実をつかめるかどうか。
ドイツ人ってすごいな・・って、それ、ヨーロッパというたくさんの民族が入り混じるがゆえの産物、
面白いです。(渡辺)





ジャン・クリストフ 全4巻 ロマン・ロラン

言わずと知れた、豊島与志雄の名訳。そしてノーベル文学書を受賞した著者ロマン・ロランは、
時代精神の変わり目、物質文明が、科学によって加速化されるなか、前世紀の遺言のように、
この大著を生涯かけて。私は、クリストフの少年時代の描写が好き。もはや、言葉は、ライン川のように
大きく流れ、そこに身をゆだねるのに、学生時代は、言い知れぬ幸福を味わう。もちろん、同じく感動をき共有してくれる友人・先輩がいたからこそ。長い交響曲をきくような、充実感。
ベートヴェンの生涯をモチーフに描写。

こんな清々しい文章、もう書く人はうまれてこないだろう、それほど人類は、変に賢く、享楽的に、なりすぎた感あり、彼の青年時の姿は、ダンディーだが、北方の人特有な瞑想的な表情が印象的。(渡辺)




「ナポレオン 上・下」
エミール・ルートヴィヒ  北澤真木 訳

ボナパルトの話題になれば、まずこの著作を賛美しあうことから始まった。
それくらい、青年、自尊心のかたまり、世間知らずがゆえの傲岸不遜さを、いい意味で(?)助長させてくれる本。フォーカスがまったくブレていない。

ゲーテ曰く、

「ナポレオン伝説は聖ヨハネの啓示のようなものだ。背後に何かが隠されていると誰もが感じながら、
それが何なのかは誰にもわからない」

「彼は、徳を求めたもののこれを見いだせず、権力を掴むにいたった」




「情熱の庭師」ルードルフ・ボルヒャルト  小竹 澄栄訳







ものの見方について  笠 信太郎
彼が戦中、新聞記者としてドイツ・スイスに滞在経験から、培われた西欧人の「ものの見方」
Deusche ordnung (ドイツの秩序)、ドイツ人の「場」への感覚をわかりやすく書かれている。
日本の終戦工作に彼が関わっていること、その活躍も見逃せない。
  



占星術    リズ・グリーン  鏡 リュウジ訳
これはユングの心理学のアニマ・アニムスなどを基礎に
西欧の占星術を豊富な事例に基ずいて体系的に述べた、
一般読者むけの大著といえるだろう。
間違っても、雑誌の最後に書いてある「占い」とは違う。
人を広い視野で、「直観」「感覚」「知性」「感情」という
12星座が、3星座ずつ4グループに分けられるところから始まる。
Ascendant(アセンダント)・・自分が社会と対峙するときにどのような態度を持って行うか。
自分の誕生日の星座とは違うのだ。
自分が生まれた年、月、日、時間に、東の空に上っていた星座によってその傾向が示される。

アラビア・西欧の人間観察を統計学的にまとめた粋、それが「占星術」ではるが、
ロマンティックな感性を研ぎ澄ます良書でもある。
鏡 リュウジさんの出世作ともいえるのではないでしょうか。
わかりやすい訳になっています。




ブダペストの世紀末  ジョン・ルカーチ著   早稲田みか訳
ハンガリーというのは、ヨーロッパでも得異な国である。
キリスト教を国教としたアジア系の最初のヨーロッパの王国である。
その歴史は、多くの詩・文学のなかで叙情にあふれる。
オスマン・トルコ、ハプスブルグ王朝、ナチス・ドイツ、ソヴィエトと、幾世紀にもわたって、
独立を失うことはなくも、周囲の大国に望むと望まざるところ、
恭順の姿勢をとらざるを得なかった過去がある。
日独伊軍事同盟にも4番目の国として参加していた。
そして、ベルリンの壁の崩壊よりも早く、東ドイツの国民をハンガリー経由で
オーストリアに脱出させていた国でもある。
その国の国民が、政治的修辞学をもって、多くの想像力をもって
20世紀初頭までヨーロッパの大国のひとつになろうとするまで、
そしてその後の没落を、著者が愛情と敬意を持って描いている。
短期間に多くのノーベル賞受賞者、そして多くの芸術家を輩出。
文中で取り上げられるのは、ジュラ・クルーディの詩、美しい。
彼の詩集の日本語訳がないのはすごく残念だ。









昔、新渡戸稲造が、「宗教教育なくして、日本人はどうやって道徳を学ぶのですか?」って
西洋人に問い詰められたときに、彼の頭に浮かんだであろう「修身」の教科書。

「日本人は、小学校から、読み書きソロバン、そしてコレがあるから大丈夫なんだよ」
彼は、今の教科書に何を思う。 



ちょっと褒め過ぎかなというくらい、現代の我々には照れてしまうくらい、いや
身に覚え、身についているものだろうか、ここに書かれた美徳の数々は、本当にわれわれ「日本人」の
もの、と主張できるであろうか。

祖先への畏敬を感じる書。愛国心が自然に湧いてきます。
恐らく外国むけに、論理だてて書かれていて、「ならぬものはならぬ」など、昔の藩校でいわれているような
戒めの言葉もあり。こういう国語の先生に学びたかった。

対英語訳は、英語の勉強に最適。日本好きの外国人にも、いや、もう知ってるでしょうか。





花言葉  ケイト・グリーナウェイ

「花言葉」の編纂のはしり。ヴィクトリア王朝のイギリスで、プラントハンターおよびヨーロッパ中の
園芸会社が世界の花々を集めてきた。そして階級をとわず、各国の市民、修道士にいたるまで、
自らの庭に種を、球根を植え、花咲くのを心待ちにした。

その花の言葉、フレーズを体系化したものは、英国内でも評判の売れ行きであったという。

たとえば、オレンジの白い花は、

「Your beatifulness is engraven on my heart.」
ヴィクトリア朝ですね。



























レニ・リーフェンシュタール。 Leni Riefenstahl
ドイツの映像作家。ナチ時代は、権力のお先棒を担ぐとされたが、その美意識は度肝を抜かれる。
現代の一流映像関係者なら知らない人はいないであろう。

 彼女の回想録。克明に事実が記される






パリ・コミューン    大佛 次郎著


1870年7月に始まる プロシア・フランス戦争(普仏戦争)で、ドイツ民族のパリ占領後、
フランス市民が、パリにバリケードを貼り自治を布いた。

プロシア軍・フランス政府軍はヴェルサイユ宮殿に本拠地を置き、
何カ月も攻めあぐねる。 
山手公園に著者の記念館がある。
凄まじい史料からの著作、幾多の亡命ポーランド人などが、
パリ・コミューンにかかわっているのがこれで知った。



渋沢栄一についての著作。これも図書館で目について止まらなくなった。




アレックス・カー(Alex kerr)氏

1952年アメリカで生まれ。エール、オックスフォード両大学で日本学と中国学を専攻。
1973年に徳島県東祖谷山村で茅葺き屋根の民家(屋号=ちいおり)を購入
全国で地域観光振興コンサルティング。

国土交通大臣外国人観光まち作り委員会委員
国土交通省景観百選選定委員会委員
経済産業省地域中小企業サポーター
YOKOSO! JAPAN大使
2008年2月より長崎県北松浦郡小値賀町の「観光まちづくり大使」





内橋 克人氏  『〈節度の経済学〉の時代市場競争至上主義を超えて』 




ウィルヘルム・フルトヴェングラー

歴史に名を残す指揮者。ナチ時代は、国外に亡命せず、ひたすら
ドイツ国民に、音楽を指揮することで、ドイツの内面の良心を訴え続けた。
亡命すればいいわけではない、防空壕のなかで、指揮をしたベートヴェンの第九など
心に残る。彼の音楽についての記載は、なかなかわかりにくい。
音楽に親しんでいて、少し勉強したことがあるなら、さらに味わいが感じられると思う。
真摯な姿勢に心をうたれる・